コンビニのATMの前に立つと、なぜか少しだけ姿勢がよくなる。
誰も見ていないのに、妙に背筋が伸びる。
画面の「キャッシング」の文字が、やけにくっきりしている。
指はボタンの上で止まる。
押せば早い。
とても早い。
文明の進歩とは、こういうことかと感心するくらい早い。
でも、その前にひと呼吸。
スーッと吸って、ゆっくり吐く。
いま必要なのはお金か、それとも一瞬の安心感か。
自分に問いかける時間は、だいたい3秒くらいしかないけれど。
頭の中で未来の自分が登場する。
腕を組みながら、「ちゃんと計画あるん?」と聞いてくる。
急に真顔である。
もちろん、使うこと自体が悪いわけじゃない。
本当に必要なときもある。
ただ、「なんとなく」で押すのは、ちょっとだけもったいない。
深呼吸をすると、不思議と心拍数が落ち着く。
さっきまで焦っていた気持ちが、少しだけ整理される。
ボタンは逃げない。
今日の私は、押さなかった。
それだけで、なんとなく自分に小さく拍手。
もし押す日があったとしても、その前にちゃんと深呼吸はしようと思う。
便利さの前で立ち止まる3秒間。
その時間が、私とお金のちょうどいい距離を守ってくれている気がする。
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