「お金を借りる」と聞いて、あなたはどんな気持ちになりますか。
少し後ろめたい。人には言えない。できれば自分は関わりたくない。そんなふうに感じる人は、きっと多いと思います。
この記事は、「借りること」への重たい気持ちを、少しだけ軽くするために書きました。ただし最初に言っておくと、「どんどん借りましょう」という話ではありません。「借りること」と「借りすぎること」は別物です。その違いを、一緒に整理していきます。
なぜ「借りる」ことに罪悪感があるのか
私たちは子どもの頃から、「借金は悪いもの」「人に迷惑をかけるな」と、なんとなく教えられてきました。ドラマや漫画に出てくる借金は、たいてい転落の入口として描かれます。
そうしたイメージが積み重なると、次のような思い込みができあがります。
- お金を借りる人は、計画性のないだらしない人
- 借りた時点で、人生の失敗が始まっている
- 周りに知られたら恥ずかしい
でも、少し冷静に考えてみてください。住宅ローン、車のローン、奨学金、クレジットカードの分割払い。私たちの暮らしは、実は「借りる」仕組みの上にたくさん成り立っています。それらを「悪いこと」と感じている人は、あまりいないはずです。
「借りる」は、時間を前借りすること
借りるという行為を、私はこう考えるようになりました。
「未来の自分の収入を、今に持ってくること」
たとえば、来週の給料日まで生活費が足りない。急な冠婚葬祭や家電の故障で、どうしても今、お金が必要になった。こういうとき、多くの場合は「お金がない」のではなく「お金が入るタイミングが、必要なタイミングに間に合わない」だけです。
そのズレを埋めるために、期限と返済計画をはっきりさせたうえで借りる。これは無責任な行動ではなく、むしろ状況を冷静に見て判断した結果です。
一番危ないのは、借りることではなく、苦しいのに「借りるのは悪いことだから」と我慢し続けて、状況をさらに悪くしてしまうことかもしれません。
それでも「借りていい人」と「立ち止まったほうがいい人」はいる
ここは大事なところなので、はっきり書きます。
「借りることは悪くない」からといって、誰でもいつでも借りていいわけではありません。次のような場合は、いったん立ち止まって考えたほうが安心です。
- 返済の見通しが立っていない
- 借りたお金の返済のために、別のところから借りようとしている
- 浪費やギャンブルの穴埋めが目的になっている
- すでに複数の借入があり、毎月の返済が重くなっている
特に、返済のためにまた借りる状態は、抜け出すのが難しくなりやすい入口です。この状態になりかけていると感じたら、新しく借りるよりも先に相談することを考えてください。
借りる前に、最低限おさえたいこと
「借りてもいい」と思えるようになるには、罪悪感をなくすだけでなく、正しい知識を持つことも大切です。
1. 貸金業者は法律のルールの中で運営されている
日本では貸金業法によって、借りすぎを防ぐための仕組みが決められています。たとえば、貸金業者からの借入総額は原則として年収の3分の1までという「総量規制」があります。きちんと登録された業者かどうかを確認することも、最初の一歩です。
2. 金利と返済総額を必ず確認する
「毎月の返済額が小さいから大丈夫」と思っても、期間が延びれば利息の合計は大きくなります。借りる前に、いくら借りて、いつまでに、総額でいくら返すのかを自分で計算しておくと安心です。
3. 「返せる金額」だけ借りる
上限まで借りられるとしても、必要な分だけにとどめる。これがいちばん基本で、いちばん大切なルールです。
4. 家族や友人には言いにくくても、自分の中でだけは正直になる
誰かに話す必要はありません。ただ、自分の返済計画には嘘をつかないこと。ここさえ守れれば、借りることは怖いものではなくなります。
罪悪感が軽くなった瞬間
私自身、「借りること」に強い抵抗を持っていた時期がありました。
気持ちが変わったきっかけは、「借りるかどうか」ではなく「どう借りて、どう返すか」に考えを切り替えたことでした。
借りることそのものを善悪で判断するのをやめて、金額、期間、返済の見通しという事実だけを紙に書き出してみる。すると、感情で膨らんでいた不安が、意外と小さな数字の話に落ち着いていきました。
「悪いことをしている」という気持ちが、「必要な手段を、ルールを守って選んでいる」という感覚に変わったとき、初めて肩の力が抜けた気がします。
もし返済がつらくなったら
借りたあとに、状況が変わってしまうこともあります。収入が減った、病気やケガで働けなくなった、想定外の出費が続いた。そんなときは、ひとりで抱え込まないでください。
返済が難しくなりそうなときは、早めに相談することが何より大切です。
- 借りている会社に、返済方法の相談をする
- 日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センターに相談する
- 法テラス(日本司法支援センター)で、無料の法律相談を受ける
- 自治体の消費生活センターに相談する
こうした窓口は、「もうどうにもならなくなった人」だけのものではありません。「ちょっと不安になってきた」という段階で使っていいものです。早く動くほど、選べる選択肢は多くなります。
まとめ
- 「借りること」は、それ自体が悪いことではない
- 大事なのは、借りるかどうかより「どう借りて、どう返すか」
- 返済の見通しがなく借りるのは、立ち止まるべきサイン
- 金利・返済総額・法律のルールを知っておくと、不安は小さくなる
- つらくなったら、早めに相談していい
お金を借りることを、誇らしいことだとまでは言いません。でも、恥ずかしいことでもありません。
自分の状況を冷静に見つめて、必要なときに、必要な分だけ、ルールを守って借りる。そう考えられるようになったとき、「借りることは悪いことじゃない」という言葉が、少しだけ素直に受け止められるようになるのだと思います。
この記事が、お金のことで一人で悩んでいる誰かの、気持ちの整理のきっかけになればうれしいです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。実際に借り入れを検討される際は、各社の公式情報で金利・条件・返済例をご確認ください。
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