先日、久しぶりに友人と会って、駅前の小さなカフェで話をしました。
最初は近況報告のような、他愛もない話でした。仕事が忙しいこと、最近よく眠れていないこと、新しくできたパン屋の話。
注文したコーヒーが半分ほどになったころ、友人がカップを見つめたまま、ぽつりと言いました。
「実はさ、ちょっとお金のことで悩んでて」
「話していいのかな」という間
その一言の前に、ほんの少し間がありました。
お金の話は、切り出すのにとても勇気がいります。仲が良い相手ほど、心配をかけたくない、情けないと思われたくない、という気持ちが先に立つからです。
友人もきっと、その一言を言うまでに何度も頭の中で言葉を選んでいたのだと思います。
私は「うん」とだけ答えて、続きを待ちました。
話の中身は、特別なものではなかった
友人が話してくれたのは、決して珍しい悩みではありませんでした。
急な出費が重なったこと。給料日まであと少しなのに、手元が心もとないこと。誰にも言えないまま、数週間ひとりで考え込んでいたこと。
話を聞きながら、私は「それは大変だったね」と言う以外に、ほとんど何も言えませんでした。アドバイスらしいアドバイスも、気の利いた励ましもできていません。
ただ、話し終えたあとの友人の顔が、会ったときよりも少しだけ柔らかくなっていたのです。
解決していないのに、楽になる不思議
不思議だな、と思いました。
お金の悩みは、話しただけで消えるわけではありません。残高が増えるわけでも、支払いが減るわけでもない。状況は何ひとつ変わっていないのに、友人の肩からは、ほんの少し力が抜けているように見えました。
きっと、悩みそのものが軽くなったというより、「ひとりで抱えている」という重さが軽くなったのだと思います。
お金の悩みの苦しさの半分くらいは、金額よりも「誰にも言えない」ことにあるのかもしれません。
頭の中だけで考えると、悩みは大きくなる
ひとりで考えているとき、悩みは実際より大きく、輪郭のはっきりしないものに感じられます。
「いくら足りないのか」「いつまでに必要なのか」「どんな選択肢があるのか」。本当は整理すれば数行で書ける内容でも、頭の中では霧のように広がって、夜中に何度も形を変えます。
誰かに話すと、それが言葉になります。言葉になると、輪郭ができます。輪郭ができると、「これなら向き合えるかもしれない」と思える瞬間が来ます。
友人の表情が変わったのは、きっとその瞬間だったのでしょう。
借りることを考えているときこそ、ひとりにならないで
このブログを読んでくださっている方の中には、今まさに、お金を借りることを考えている方もいると思います。
借りること自体は、悪いことではありません。仕組みを理解し、返せる範囲で、きちんとした事業者を選ぶのであれば、生活を立て直すための一つの手段です。
ただ、だからこそ、決める前にひとつだけやってみてほしいことがあります。
- 足りない金額と、必要な期日を紙に書き出してみる
- 毎月いくらなら無理なく返せるか、先に考えてみる
- 信頼できる人に、いまの状況を一言だけでも話してみる
- 借入先を選ぶときは、登録貸金業者かどうかを金融庁の登録情報で確認する
「話すのはちょっと」という場合は、日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センターのような、公的な相談窓口もあります。身近な人でなくても、話せる場所はあります。
帰り道に思ったこと
カフェを出て、駅の改札で友人と別れました。
「話せてよかった。また連絡するね」
そう言って手を振った友人の背中は、来るときよりも、少しだけまっすぐに見えました。
私にできたのは、ただ聞くことだけでした。それでも、それが誰かの重さを少し減らせるのなら、お金の話は、もっとふつうに交わされていいものなのかもしれません。
お金に困ることは、恥ずかしいことではありません。そして、困っていることを話すのも、弱さではありません。
もし今、ひとりで数字とにらめっこしている夜を過ごしているなら、どうか、その重さを少しだけ誰かに分けてみてください。
解決しなくても、きっと、ほんの少しだけ、息がしやすくなります。
「借りる話」は、これからも、お金のことで悩むあなたの隣に静かに座っているような場所でありたいと思っています。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。借入は返済計画を十分に確認したうえで、ご自身の判断で行ってください。
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